コラム

2025/01/30

口腔機能低下症とは?症状と原因、7項目の診断基準、治療法について

口腔機能低下症の御婦人

こんにちは。名古屋市北区大曽根にある医療法人晃生会 光輪歯科です。

口腔機能低下症とは、噛む・飲み込む・話すといった口の基本的な機能が低下する状態を指します。この状態を放置すると、食事や会話が困難になるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、口腔機能低下症の主な症状や原因をはじめ、診断に用いられる7項目の基準や、効果的な治療法について詳しく解説します。

口腔機能低下症とは

口腔機能低下症の男性

口腔機能低下症とは、加齢やさまざまな要因により、口の中の機能が低下する状態を指します。具体的には、噛む、飲み込む、話すといった基本的な動作が困難になることで、生活の質や全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

健康に過ごせる期間である健康寿命を伸ばすには、食物繊維・醗酵食品を摂取すること、人との関わりを持つこと、体をこまめ動かすことの3要素が重要と言われています。口腔機能低下症の症状があると、噛んだり飲み込みにくくなり食事がしにくくなります。

口腔機能が低下すると滑舌が悪くなり、人との会話や交わりに消極的になるでしょう。また、食事しにくいことで栄養不良になれば、体力の低下につながります。

このような状態が続けば、認知機能の低下から認知症につながる恐れもあるのです。

口腔機能低下症は、単なる老化現象として片付けられることも少なくありませんが、医学的に診断されるべき疾患です。治療やトレーニングを通じて改善する可能性があるため「年齢のせいだから仕方ない」と放置するのではなく、早期に専門的な診察を受けることが重要です。

口腔機能低下症の症状

嚥下障害を起こす高齢者

口腔機能低下症では、日常生活に必要な口の動作が困難になることで、さまざまな症状が現れます。口腔内だけでなく全身の健康や生活の質にも影響を与えるため、早期の発見と対応が非常に重要です。

噛む力の低下(咀嚼機能の低下)

食べ物をうまく噛み砕けなくなり、食事に時間がかかる、飲み込みづらい、硬い食べ物を避けるようになるなどの変化が見られます。この結果、栄養不足に陥ったり、食事そのものの楽しさを失ってしまう可能性があります。

飲み込む力の低下(嚥下機能の低下)

飲み込む動作がスムーズにできなくなり、むせる回数が増えることが特徴的です。特に液体や半固形物でむせやすくなることで、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

唾液の分泌量の減少(口腔乾燥症)

唾液の分泌量が減少すると口の中が乾燥し、話しづらくなる、食べ物が口内に張り付く、口臭が強くなるといった問題が起こります。また、唾液の不足は口内環境を悪化させ、虫歯や歯周病のリスクを高める要因となります。

舌や唇の動きの低下

舌や唇の筋力が衰え、言葉がはっきりと発音できなくなったり、話すのが困難になることがあります。また、舌の動きが制限されることで、食べ物をうまく飲み込めなくなるなどの問題も発生します。

食事や会話の楽しみの減少

口腔機能が低下すると、食事や会話を楽しむことが難しくなり、これらの場が億劫に感じられるようになります。結果として社会的な交流が減り、心理的な影響で生活の質がさらに低下することが考えられます。

歯の喪失や噛み合わせの異常

歯の本数が減少することで、噛み合わせが悪くなり咀嚼機能の低下を招きます。義歯を使用している場合でも、適切に調整されていないと十分に機能を発揮できず、口腔機能全体の低下につながります。

全身の健康への影響

口腔機能の低下は、栄養状態の悪化や誤嚥性肺炎のリスク増加に直結します。全身の健康が損なわれ、認知機能の低下や生活習慣病の悪化につながる可能性も指摘されています。

口腔機能低下症の原因

ストレスのある女性

口腔機能低下症は、さまざまな要因が複雑に絡み合うことで発症します。これらの原因を正しく理解することは、予防や適切な治療に役立ちます。

以下に、主な原因を解説します。

加齢による身体機能の低下

加齢は、口腔機能低下症の最も大きな原因の一つです。年齢を重ねるにつれ、筋力や感覚が衰え、噛む力や舌の動きが鈍くなります。また、唾液の分泌量も減少するため、口内が乾燥しやすくなり、咀嚼や嚥下機能に影響を与えます。

不適切な生活習慣

柔らかい食べ物中心の食生活や、不十分な咀嚼習慣は、口腔筋の衰えを加速させます。また、喫煙や過度の飲酒は、口腔環境を悪化させる大きな要因となります。

これらの習慣が長期間続くことで、口腔機能低下症を発症するリスクが高まります。

全身の健康状態の影響

脳卒中、パーキンソン病、認知症などの神経疾患は、嚥下や咀嚼機能の低下に直接影響を与える要因です。また、これらの疾患による筋力の低下や感覚の鈍化は、口腔機能全体に悪影響を及ぼします。

特に、神経疾患に伴う症状は、進行すると日常生活にも大きな影響を及ぼします。

心理的要因やストレス

ストレスや心理的な負担も、口腔機能の低下に関係します。長期間にわたる緊張状態は、顎関節や口の周囲の筋肉を固くし、噛む力や口の開閉に支障をきたすことがあります。

心理的要因が絡む場合、身体的な問題と相まって症状が悪化することも少なくありません。

口腔内の不衛生や歯周病

歯周病や虫歯などの口腔内疾患が進行すると、痛みや不快感によって十分に咀嚼ができなくなります。栄養摂取が不十分になるだけでなく、口腔機能全体の低下を招くことがあります。口腔内を清潔に保つことは、機能を維持するために非常に重要なのです。

口腔機能低下症の診断基準

口腔機能低下症の診断基準のイメージ

以下の7項目のうち、3つ以上が該当する場合は口腔機能低下症と診断されます。それぞれの基準と評価方法を解説します。

口腔衛生状態不良

舌苔(ぜったい)の付着具合を、Tongue Coating Index(TCI)を用いて評価します。舌を9つのエリアに分け、舌苔の量をスコア化(0〜2)します。合計スコアが9点以上の場合、口腔衛生状態不良と判定されます。

口腔乾燥

口内の乾燥の程度を、2つの観点から評価します。

<乾燥レベルの評価基準>

口腔粘膜湿潤度 口腔水分計で舌背部の湿潤度を測定
27.0未満を口腔乾燥と判定
唾液量 サクソンテストを用いる
2分間で吸収された唾液量が2g以下の場合は口腔乾燥と評価

咬合力低下

専用の感圧フィルムで測定し、200N未満を咬合力低下とします。また、動揺歯や残根を除き、20歯未満の場合に咬合力低下と判定されます。

舌口唇運動機能低下

オーラルディアドコキネシス(ODK)を使用し、「パ」「タ」「カ」の音を10秒間で何回発音できるか測定します。1秒あたり6回未満の場合に機能低下と判定されます。

低舌圧

舌圧測定器を使用し、舌を硬口蓋に押し付けた最大圧力を測定します。30kPa未満を低舌圧と評価します。

咀嚼機能低下

咀嚼機能のレベルも評価します。

<咀嚼機能の測定方法>

咀嚼能力検査 グミゼリーを咀嚼後、吐き出した溶液中のグルコース濃度を測定
100mg/dL未満を咀嚼機能低下と判断
咀嚼能率スコア法 グミを30回咀嚼し、粉砕度を基準にスコア化
スコアが2以下の場合、機能低下と判定

嚥下機能低下

以下の2つのスクリーニングで評価します。

EAT-10 10項目の質問票で3点以上の場合、嚥下機能低下と判定
聖隷式嚥下質問紙 質問項目のうち、特定の条件を満たす場合に嚥下機能低下と判断

口腔機能低下症の治療方法

口腔機能低下症の治療を受ける女性

口腔機能低下症の治療は、低下した機能を回復し、生活の質を向上させることを目的としています。治療方法は患者さまの症状や原因に応じて異なり、さまざまなアプローチを組み合わせます。

口腔リハビリテーション

口腔リハビリテーションでは、舌や口唇、顎の筋力を鍛える運動療法が行われます。具体的には、舌を動かす練習を通じて飲み込む力や発音の改善を目指したり、噛む力や口の開閉をスムーズにするためのエクササイズが実施されます。

歯科的治療

歯や噛み合わせに問題がある場合は、歯科治療が欠かせません。例えば、歯の欠損が原因であれば、適切な義歯を作製・調整することで噛む力を回復します。

また、虫歯や歯周病が口腔機能低下を引き起こしている場合、それらを治療することで口腔の健康が取り戻されます。

唾液分泌の改善

唾液分泌量の減少が見られる場合は、唾液腺のマッサージで分泌を促したり、医師の指示のもとで唾液分泌促進剤を使用することが推奨されます。さらに、十分な水分を摂取し、口内を潤す食べ物を選ぶことで症状の改善が期待できます。

栄養指導と食生活の改善

栄養指導や食生活の改善も重要な治療の一環です。柔らかい食材だけでなく、咀嚼が必要な食品を積極的に取り入れることで、口腔筋を鍛えることができます。

食事中にむせるリスクがある場合には、とろみをつけるなどの工夫が必要です。

生活習慣の見直し

日常生活での習慣を見直すことも、治療の効果を高めるポイントです。例えば、喫煙は唾液の分泌を減少させ口腔環境を悪化させるため、禁煙が推奨されます。また、食べ物をよく噛む習慣を身につけることで、咀嚼機能が改善され、口腔全体の健康が向上します。

まとめ

口腔機能低下症が回復した女性

口腔機能低下症とは、噛む、飲み込む、話すといった口腔の基本的な機能が低下する疾患で、主に加齢や生活習慣、全身疾患が原因となります。早期の診断と包括的な治療によって、機能回復や症状の進行を防ぎ、生活の質を維持することが可能です。

口腔機能低下症の治療を検討されている方は、名古屋市北区大曽根にある医療法人晃生会 光輪歯科にお気軽にご相談ください。

当院は、歯を治すだけではなく患者さまの悩みを解決する医療を提供できるよう、診療を行っています。虫歯・歯周病治療を始め、ホワイトニングや審美歯科など、さまざまな診療に力を入れております。

ホームページはこちらお問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご覧ください。

名古屋市北区大曽根の光輪歯科はリラックスできる空間作り、患者様への心遣い、最新の設備でニーズに合わせた治療にこだわります。

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